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443  随想コラム 目を光らせて 一湾に焚き火つらねて伊勢人は年の初めの日輪を待つ [文芸(短歌・俳句) 時事]


  

   随想コラム「目を光らせて」NO.443「朝日歌壇・朝日俳壇から」


 


                「コロナを詠んだ歌人たち」         


   歌壇 


              期間:2021.207~2.14


 


       一湾に焚き火つらねて伊勢人は


 


         年の初めの日輪を待つ  


                          


           題 目: 朝日新聞: 2021.2.07 朝刊           


                (津市)中山 道治さんの入選作。                                           13-DSC_0097.JPG                         アオウ ヒコ


      「朝日歌壇・朝日俳壇から」


 


  このブログは朝日新聞の「歌壇・俳壇」の入選作の中から最近の事象


 を鋭い表現で切り取った作品を「歌壇」「俳壇」交互に精選し、必要に


  応 て筆者がコメントを付けています。コメントは文芸上の範を越える


 こあります。


  作品の頭に印を付けた作品は、時の政権が推進する前のめりの右傾


 化路線や平和憲法を無視し国会の存在をないがしろにするさまを放置し


 ておけぬとする市民の声であり、この悪弊を矯めたいとする意思表示で


 あるとしてきました。これらの作品はここでは個々の作品の文芸上の軽


 重を問うこなく、全ての作品を本稿に採録してきました。


 


  令和二年一月、突如として地球に住む人類を無差別に襲ったコロナウ


 ィルスは手を変え品を変えて、世界各地でその猖獗の勢いは止まること


 なく人の命を損ない、これまで営々として人類が築いた世界の歴史と文


 化を根底から覆す様相を呈しています。


 


   朝日新聞の読者たち、とりわけ歌壇・俳壇を支える歌人たちはこの新


 型コロナウィルスの動きに目を光らせ、自らの感性で人としての声を上


 げ続けています。このブログではこの動きを「コロナを詠んだ歌人たち」


 とて捉え、作品の頭に印を付けて識別し(印は純粋な佳作とし


 て識別)、この疫病がいかに人類社会の日常に深刻な影響を及ぼしてい


 るかを見究め、このウィルス禍が人類社会に及ぼしてゆく変化を知るよ


 すがにしたいとしています。 文中敬称は省略しています。(筆者)


 


  


     朝日壇 2021..


                                8-IMG_0031.jpg


               


 


 三が日レタス植えおりコロナ禍に母国へ帰れぬ実習生が


 


          (観音寺市)篠原俊則


 ▼検温し手を消毒しマスク取りみんな黙してチキンをかじる
          (諫早市)麻生勝行
一月の出雲のことに宍道湖の蜆ごはんに白魚味噌和え
          (津市)中山道治
 
受け入れ先の見つからぬらし救急車二十分間止まり続けて
           (東久留米市)関沢由紀子

 医療機関の崩壊の芽胞がここに生じた。だが数十時間待ってもベッドの空きが
報じられること
なく、感染者は重症度を深め、死者が増えていった。 
 ▼赤塚山7時3分あかあかと真のコロナの輝きが勝つ
           
        (豊川市)宇佐美幸枝
 一湾に焚き火つらねて伊勢人は年の初めの日輪を待つ
                                              (津市)中山道治

 
まだ暗いうちから、伊勢の人達は浜の諸処に出て、初日の出を待つ焚き火を
連ねる。湾を縁取る火の数々が美しい。
 
 ▼ポンペイに食堂・劇場・浴場あり古代より楽しみは集う
こと
         (東京都)上田結香  ▼五十分時代劇見て区切りとす在宅勤務のあいまいな刻
       (蓮田市)平田栄一
 今しばし人の形に存(なぞら)えて信号待ちす霊柩車の妻
            (岐阜県)野原 武

 
逝去した夫君の柩を乗せた霊柩車に乗って細君は葬祭場へ向っている。車は
信号待ちでしばしば停まる。そのたびに彼女は思う。柩の中の存在は人の形で
止まったり動いたりしている。この待ち時間を嬉しとするべきか。
 黒服に着替えて数珠の手を合わすLINEで参列母の葬式
  (東広島市)黒木和子
 飲食が感染場所だと語りおりGoToイートを進めた総理
        (観音寺市)篠原俊則

 消えたのは配った人とあのマスクいつまでたっても消え


    ないウィルス   


          (岡山市)伊藤次郎


   


 おたがいの素顔とうとう知らぬまま半年間の口座が終わ


    る  


           (枚方市)小島節子


 


 シマヘビの棲む井戸だけは残してと実家仕舞ひの弟に


    請ふ


             (船橋市)大内はる代


 


 六人の任命拒否の説明を国民はまだ聞いていません


 


         (京都市)中尾素子


 


 


   朝日歌壇 2021.2.14


 
21-ronsar4.jpg


 


 冬の富士朝日に浮かべ大鷭を二羽泳がせて山中湖あり


                     (熊谷市)内野 修


 


 鹿島神宮にさざれ石の碑が鎮座するコロナ禍の今皆が立ち


      寄る


           (鹿嶋市)平野弥生


 


 快晴の上空遥か飛行機はシラスのように静かに白い            


                     (四街道市)中村登紀子


 


 見下ろせばあり居り侍りといっせいに水底掻きて鯉の


    寄り來る                     


                     (堺市)平井明美


 


 ▼冬眠を初期人類はしたらしい 今こそしたいコロナ去るまで


         (つくば市)渡辺 峻


 


 「ステイホームはショートステイが長いだけ」特養の老婆の


     つぶやけり


          (長崎県)小川吾一


 


 人の死を喪中はがきで知るような悔みも言えぬこんな世は嫌だ    


         (横浜市)人見江一


 


 テーブルに林立している仕切り板海洋ゴミにならぬこと祈る   


          (四街道市)中村登紀子


 


 咎人のごとくにひっそり帰省して籠ったままにこっそり帰った    


         (対馬市)神宮斉之 


 冬の富士朝日に浮かべ大鷭を二羽泳がせて山中湖あり 


          (熊谷市)内野 修


 


 非正規なれば車の事故も自分持ち息子は配送にコロナ


    禍を走る     


         (川崎市)小林加津美


 


   非正規に出勤求め週四日テレワークする上司は家で    


                    (神戸市)松浦知恵子 


 ・弟は死ぬ日まで俺をにいちゃんと呼んだよたしか二人は


       八十路


         (長野県)沓掛喜久男


 


 ・吹雪く夜に鱈汁すするしあわせをしみじみ言ひし庄内びとは


        (仙台市)沼沢 修


 


 図書館は注文の多い料理店手洗え名を書けそこに本置け   


                   (半田市)中野富恵子


          


                    


                                 


05-DSC_0076.JPG

                            


 


             つづく → NO.443-2


 


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随想コラム 目を光らせて NO.443-2 徘徊の妻を語りて涙ぐむ友を励ます妻なしわれは [文芸(短歌・俳句) 時事]

                       

  随想コラム「目を光らせて」NO.443-2「朝日歌壇・朝日俳壇から」


 


        「コロナを詠んだ歌人たち」


          


      歌壇  期間:2021.2.21~28


 


 


       徘徊の妻を語りて涙ぐむ友を励ます


 


     妻なしわれは 


                           


                             *題 目: 朝日新聞: 2021.2.28 朝刊                                       (小美玉市)津嶋 修さんの入選作。


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                             アオウ ヒコ     


     朝日壇 2021..21           


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 赤貧とコロナの中に出獄す失うものを持たぬ青空


            (東京都)十亀弘史


 


 入獄中に多くの歌を詠みましたね。が、このブログでは取り上げることはありま


 せでした。さて、どうやら出所されたようです。外は赤貧とコロナが待ち受けて


 いると、出所してからの感懐を歌に詠まれだ。見上げれば大きな宇宙につらなる青空が


 見えると。そこで当方からの出所祝い。 なにはともあれ、おめでとう。


 


 ▼雪の朝コロナ禍の今ありがとう新聞受けのメッセージに


  泣く
             (甲州市)麻生 孝
 酒あおり久方ぶりに熟睡す永遠の眠りの姉の隣で
         (光市)松本 進



 
告げられしステージⅢは闘病の始まりなだけ死ぬのでは


  ない
          (三原市)向井好美
 お風呂より聞こえる子らの笑い声ほくろをつなげば星座になる


    らし
         (奈良市)山添聖子



 
手洗いもマスクもできぬニワトリが密に飼われて埋められてゆく
           (八王子市)野口詢子



 飲み食いと旅することが経済だと初めて知ったこの一年


  で
  
    
    (滋賀県)木村泰崇



 ▼再びの自粛に書道教室の墨拭き上げてとじまりをする
        
(さいたま市)齋藤紀子



 ▼自らが濃厚接触者と知りし生徒は差別を恐れて泣きぬ
 
       (神戸市)斎藤万智



   ★唯一の被爆国が加入せぬ核禁条約たくましく発つ
        (安中市)鬼形輝雄
 唯一の被爆国なら率先して核禁条約に賛同、加入してるなら判る。それもせず


 して いそいそとその会議に出かけるガースさんのその面の皮。鉄面皮とも違う


 が厚い。


 


 ▼スペイン風邪を生き抜きし詩人を福岡の獄で死なせた治安維


     持法
 
            (宇治市)紺屋延子
  その詩人の名は尹東柱(エンドンジュ)。民族独立運動の途上で獄死。馬場


 あき子氏選評から。 


  ▼10分のオンラインなる面会にただ手を振りし病院の妻
             (吹田市)船越一英 


 


 コロナ禍の北吹く野良に勤しめる実習生の交わす母国語


          (和歌山県)市ノ瀬伊久男


 


 手拍子なきラデッキー行進曲は初春の耳にあたらしされど


      さびしき


         (東京都)福島隆史


 手拍子なきは無観客だったからないようだ。今春のウィ-ンフィルコンサートは


  伸びやかな芳醇な宴ではなかったようだ。寂しかったのか。


 


   


   朝日歌壇 202122 8


    


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 孫のよな歳となりても姉は姉遺影と語る時には敬語


               (中津市)瀬口美子


 


 ワクチンもオリンピックも政権を維持するための道具で


    はない


          (観音寺市)篠原俊則


 


 ・胸つぶるるものとして聞く深海のダイオウイカが生きて捕まる


                       (東京都)松本知子


 


 椿咲くと海女五つほど桶ながし磯笛流す灯台の下


          (津市)中山道治


 


 深夜にも休みの日にもメール来て仕事が追いかけてくるテレワーク


           (狛江市)松本勇一


 


 ▼実在の人物だった先輩は画面越しよりずっと大人で


          (吹田市)赤松みなみ


 


 徘徊の妻を語りて涙ぐむ友を励ます妻なしわれは 


          (小美玉市)津嶋 修


 


 職業はパート保育士胸張って早朝預かり保育を担う


           (奈良市)辻本照代


 


 弥生忌や十歳の子がもう二十歳汚染水タンクはもう


    千基


           (福島市)美原凍子


 


 托鉢の僧も今年はマスクして寒の読経にメガネくもらす


           (西条市)村上敏之


 


 明日入試ここにて受ける全員の合格祈り消毒する扉(ドア)


           (堺市)黒田麻里子


 


 待機中亡くなる庶民と感染後すぐに入院できる議員と


          (観音寺市)篠原俊則


       


                   


                             


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