439-2 羽根ひろげ秋の光に落つるときおのずから光る科の木の実は 随想コラム「目を光らせて」NO.439-2「朝日歌壇・朝日俳壇から」 「コロナを詠んだ歌人たち」 歌壇 期間:2020.11.01~1.29 羽根ひろげ秋の光に落つるとき おのずから光(て)る科(しな)の木の実は* *題 目: 朝日新 [文芸(短歌・俳句) 時事]
随想コラム「目を光らせて」NO.439-2「朝日歌壇・朝日俳壇から」
「コロナを詠んだ歌人たち」
歌壇 期間:2020.11.15~1.29
羽根ひろげ秋の光に落つるとき
おのずから光る科の木の実は*
*題 目: 朝日新聞: 2020.11.29 朝刊
(仙台市)沼沢 修さんの入選作。
アオウ ヒコ
朝日歌壇 2020.11.15
・煎じるか酒につけるかうっとりと袋に入れる蝮一匹
(徳島市)清水 君平
★秋霖の学徒出陣忘るまじ学術会議攻めらるる今
(南アルプス市)榊原 章男
▼体当たりの恋は流行らず若者はリスクとコスパのもの思いする
(東京都)松本 知子
▼突然に夫が兎を買ってきた呆れながらも楽しくなりそう
(さいたま市)横山壽美枝
▼いつもより長い髭剃る休み明け世との繋がり戻る瞬間
(尾道市)森 浩希
・空白のページが続く日記帳八月一日妻逝きてより
(小金井市)神蔵 勇
・茜雲蒼空火星眉月と仰向くだけで眼福の秋
(中津市)瀬口 美子
▼オンライン聴講生なりし吾仲間はイタリア北京スイスから
(朝霞市)青垣 進
▼コロナでも植木は伸びてくれるから助かりますと庭師は一服
(東京都)村上ちえ子
▼マスクして卓球をする時代きて記念写真を友らと写す
(吹田市)毛涯 篁
・唐松の黄葉始まりあめ色の佐久の地酒の沁みわたる秋
(神奈川県)吉岡 美雪
▼栗おこわ炊いたから来てとはまだ言えぬ新たな日常手さぐりの今
(東京都)鹿野 文子
・パチパチとストーブの薪のはずるおと友のようだとほほ笑む
おうな (盛岡市)山内 仁子
・茶摘み女も茶師も世を去り品薄のふるさとのお茶貴くすする
(飯田市)草田 礼子
・雪被く富士に真向かう墓洗う三十二歳の戦死の父の
(富士吉田市) 萱沼 勝由
・ハチノコを食いザザ虫を捕る伊那谷のこの習俗に
めぐり來し冬 (伊那市)小林 勝幸
朝日歌壇 2020.11.22
★国権の最高機関と習えどもそこに響くはこわれた言葉
(福岡市)田中ゆかり
▼コロナ禍で閑散としてあな嬉し西田が愛でた哲学の道
(宇治市)辻本 勝史
▼鮮やかな花柄、白、黒 参観日マスクで覚える保護者の顔ぶれ
(奈良市)山添 聖子
・ 牡蠣むけば命浸せるサロマ湖の水ほたほと滴らせたり
(旭川市)高口 玲子
★六人の任命拒否のその後は過去の歴史が教えてくれる
(亀岡市)俣野 右内
★だんだんに馴れてきますと親しげにすり寄ってくる名はファシズム
(我孫子市)松村 幸一
▼チャイム鳴り子らは小声で歌いだすマスク小さくふくらませつつ
(町田市)村田 知子
★ トリチウム、デブリ、核のゴミ原発の落とし子はみな世紀の迷子
(福島市)美原 凍子
★ 批准国地図上見れば小さくも核兵器禁止へ五十の重き
(柏市)菅谷 修
★ 富岡町の無住の寺の本堂の反原発の大きなポスター
(いわき市)馬目 弘平
・ 振り返りたい衝動を抑えてる子がいる今日は保護者参観日
(横浜市)白鳥 孝雄
★ 登るべき山を語らず木を語るビジョン乏しき所信表明
(観音寺市)篠原 俊則
★ まつろわぬ者切り捨つる菅総理鳥の眼を左右に泳がす
(北九州市)松尾あけみ
朝日歌壇 2020.11.29
・大阪は大阪市のまま夜が明けてうどんに落とす柚子のひとひら
(大阪市)上床 順子
◎羽根ひろげ秋のひかりに落つるときおのずから光る科の木の実は
(仙台市)沼沢 修
・翅止めてアサギマダラが鳶のごと滑空するを惚れぼれ眺む
(東京都)大村 森美
・フクシマの無人の街の晩秋の被曝塗れの蛇がさまよう
(いわき市)馬目 弘平
・妻の部屋のラジオを切りて灯を消して今日も終われり介護の一日
(舞鶴市)吉富 憲治
・ゆったりと湯船に浸る罪悪感 施設の夫はリフト入浴
(東松山市)山本 峯子
・朱と黄色入り混じりたる柿落葉の軽やかな音楽しみて掃く
(松山市)矢野 絹代
▼人はみな仮面の人世歩みつつ疫病流行りて仮面にマスクす
(鳴門市)佐々木保行
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(2021.01.25)
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