随想コラム 「目を光らせて」NO.444ー2「朝日歌壇・朝日俳壇から」 [文芸(短歌・俳句) 時事]
随想コラム「目を光らせて」NO.444ー2「朝日歌壇・朝日俳壇から」
「コロナを詠んだ歌人たち」
歌壇 期間:2021.3.21~28
脚に来て鼻にも止まる 蝶のあり
優しく逃がす テニスの なおみ*
*題 目: 朝日新聞: 2021.3.21 朝刊 (高松市)村川 昇さんの入選作。
アオウ ヒコ
朝日歌壇 2021.3.21
・脚に来て鼻にも止まる蝶のあり優しく逃がすテニスの
なおみ (高松市)松本 進
・コンニチハ ガンバリマシタ カッタヨー 強いなおみのかわいい
言葉
(ひたちなか市)新山英輔
・サーブする大坂なおみは手を止めて寄りくる蝶のキスをうけたり
(酒田市)大橋敏子
・アスリートの社会参加(アンガージュマン)を口にせし大坂直美の
静かなコメント
(岩手県)山内義廣
▼分解に四百五十年かかる使い捨てマスク海に増えゆく
(岡崎市)西村愛美
・発音で判ってほしいこの場合あほやなぁとは好きということ
(奈良市)山添聖子
・ああ息子の力知りたり立てぬわれを背後より抱え
さりげなく起こす
(和泉市)長尾幹也
・貢いだ末捨てられた女の気分である息子の独立めでたい
けれど (東京都)上田結香
・小さき虫にもちゃんと名前はついていて「ももちょっきり」は桃
の葉を切る (仙台市)小室寿子
・「ほう来たか」と父のあと付き畝をゆくヒタキへ父は児への眼差し
(津市)土屋太佳子
・真夜中の地震に妻は湯舟より人魚のごとく飛び出して來る
(仙台市)小野寺健二
▼目を伏せて通り過ぎます足早にダンス教室私は自粛
(川崎市)横山比露子
▼キャンパスにまだ一回も行けぬまま後輩たちの入試
始まる
(静岡県)小島一惠
★長男は別人格ではあるけれど世間が見れば親子は親子
(熊本市)柳田孝裕
朝日歌壇 2021.3.28
◎渾身の力で兄はむこうへの扉を開けてしづかになれり
(生駒市)辻岡瑛雄
▼おととしの柱の傷に追加する孫らの背丈電話で訊いて
(柏崎市)近藤達子
・タバコの火知らない人と貸しあった人が主役の昭和は霞む
(三郷市)木村義熙
・君と観た「ドクトル・ジバゴ」のストーリー覚えていない君が
居たから (海老名市)間藤義教
・川風を「く」の字の路地が和らげて佃の春は船溜まりに來る
(東京都)松本知子
▼混んでたと愚痴る夫よ退屈で出かけたあなたも多数のひとり
(三鷹市)大谷トミ子
・原爆に父母を失い米兵の妻とし生きて今日逝きし友
(アメリカ)ソーラー泰子
・カテーテルを折々ツツウと走る尿ほのかなぬくみ
いのちを思ふ (山梨県)塩島敏子
▼憧れの月光仮面のあのバイクそばやさんらの出前に今は
(海老名市)間藤義教
・富士山に大欅あり一本に大瘤のあり我寄りて撫づ
(熊谷市)内野 修
・狸蛇山の仲間を呼ぶように鳥は鳴き交ふ山火事の空
(さいたま市)齋藤紀子
▼あの二月不意に終わりし学校の記憶抱きて教室へ行く
(久留米市)塚本恭子
★この人のもとで一体何人が辞めたり離党すれば済む
のか (川崎市)小島 敦
★十年が経つ今頃に知らされるベント配管途切れていた
こと
(郡山市)柴崎 茂
▼間伐を為すが如くにリストラは技能実習生から始む
(筑紫野市)二宮正博
・どじょっこもふなっこもいた村の子もたあんといた
っけあのころの春 (福島市)美原凍子
▼増え過ぎしヒトを支ふること難しずっと悲鳴を上げゐる
地球 (長崎市)田中正和
・正規にも妻にも母にもならなくてわたしはわたしと言え
ないでいる
(北九州市)川野佳奈
・肘当てを縫いたるセーター丁寧に生きいし母のひと世を
思う
(観音寺市)篠原俊則
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