NO.445 -2 アメリカで赤子の目の色語らうも肌色あえて避けるしきたり* [文芸(短歌・俳句) 時事]
随想コラム「目を光らせて」NO.445-2「朝日歌壇・朝日俳壇から」
「コロナを詠んだ歌人たち」
歌壇 期間:2021.4.18~25
アメリカで赤子の目の色語らうも
肌色あえて避けるしきたり*
*題 目: 朝日新聞: 2021.4.18 朝刊
(アメリカ)大竹 博さんの入選作
アオウ ヒコ
朝日歌壇 2021.4.18
▼バス黙乗 銭湯黙浴 店黙食 黙々歩けば沈丁花の香
(高槻市)松尾信子
・終はりなき円周率を寿ぎて三・一四結婚せしとふ
(山口市)藤井 盛
円周率には解がなく延々と続くから目出度いとして3月14日に結婚式を挙げる、よくも気付
いたものだ。二人の間には終わりのない結縁に守られていると信じてそれこそ延々と二人の仲は
楽しく過ごし往くのだろう。
▼遠足もお泊りも保育もなき子等が「楽しかった」と卒園したり
(戸田市)蜂巣厚子
★「文春」に怯える与党も「文春」に頼る野党も我ら選びぬ
(観音寺市)篠原俊則
▼「わ」と打てば「わかりました」が表示され呑み込むことを知った三月
(吹田市)赤松みなみ
★強権に厳しく問いしキャスターがみな降板のテレビ局あり
(鎌倉市)石川洋一
▼君と見たい君と行きたいと思うから映画も旅もおあずけにする
(さいたま市)丹羽和代
◎アメリカで赤子の目の色語らうも肌色あえて避けるしきたり*
(アメリカ)大竹 博
移住してその国のしきたりを知り、これは知っておいてとわざわざ母国へ知らせて呉れている。
▼ノーベル賞に浮かれていたが脆弱な国だと知った医療も医学も
(横浜市)森 秀人
▼囚人の面会のごと仕切り越し余命三月の入院の友
(青森市)浅田 剛
▼廃業のあれやこれやの感傷に全喪届の法律用語
(富山市)徳永光城
全喪届とは事業や事業所の実態がなくなった時に日本年金機構へ提出する書類。
近時、休廃業が増えてこの書類にスポットが当たりだした。
朝日歌壇 2021.4.25
▼リモートの講義をぼやく十八歳噴火しそうなニキビが二つ
(堺市)平井明美
・「ありがとう」を言うと最後になりそうで言えないままに父を看取りぬ
(前橋市)町田 香
・そうだった百万遍を過ぎるとき市電はいつも激しく揺れた
(松山市)結城万十
・この花の下を三八式歩兵銃と軍靴でくぐりし昭和忘れじ
(我孫子市)松村幸一
▼マスク外せる日が來る来ないライムの香の泡にて今日のマスクを洗ふ
(宝塚市)櫂 裕子
▼シニア支援はかけ声だけで不採用つづく七十歳雇用の壁
(市川市)都竹秀樹
▼脈をとり眠れましたかと聞く人よあなたこそ全く寝ていないのに
(出雲市)塩田直也
▼ひとりずつ瞳の奥を確かめて確かめ合って学位記渡す
(国立市)田中 成
▼感動や勇気与えるなど言いて上から目線のアスリートたち
(江別市)成田 強
・菜の花と蛍烏賊和えほろ苦きパスタを食めばさめざめと
(岐阜市)木野村暢彦
▼「春はモカ」枕草子のように言うコーヒー好きの友に会いたい
(奈良市)山添聖子
▼「知らない」がまだ美しくあるような若き知性よ また四月來る
(横浜市)岩崎 稔
▼冷蔵庫の野菜の切れはしかき集め今日のランチはSDGsスープ
(大阪市)鹿戸仁美
・数ふれば不思議なるかな列をなし飛ぶ白鳥八割奇数
(五所川原市)戸沢大二郎
・平成の三四郎逝くやさしくて母に病を告げることなく
(仙台市)沼沢 修
去る3月24日、53才で病死した柔道金メダリスト古賀稔彦を悼む。
自らの病いを母に告げることなく、である。
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