440 末枯れ来し佐羽根峠に虹立ちて やがて雪來ん ふる里の町 「コロナを詠んだ歌人たち」 歌壇 期間:2021.12.06~27 末枯れ來し佐羽根峠に虹立ちて やがて雪來んふる里の町* [文芸(短歌・俳句) 時事]
随想コラム「目を光らせて」NO.440「朝日歌壇・朝日俳壇から」
「コロナを詠んだ歌人たち」
歌壇 期間:2020.12.06~27
末枯れ來し佐羽根峠に虹立ちて
やがて雪來ん ふる里の町*
*題 目: 朝日新聞: 2020.12.06 朝刊 (仙台市)沼沢 修さんの入選作。
アオウ ヒコ
随想コラム 目を光らせて:so-netブログ
随想コラム「目を光らせて」は2001年4月からHPに開設、以来2010年までまるまる9年をHPの形式で,世の中の森羅万象を随想コラムの対象として見据え、エッセイを綴ってきました。歴史、政治、文化、芸術、スポーツなどのほか、バラや蘭などの園芸を楽しむ人生の素晴らしさを称えてきました。 2010年7月、ブログ方式に転じましたが、内容的には変わらずHP的な構成で推移して2020年の令和の今日に至ります。
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朝日歌壇 2020.12.06
・ベビーカー出会い頭にそれぞれのベビーがしずかにベビー
を睨む
(館林市)阿部芳夫
・父と行く兵庫の海太刀魚が二人合わせて十八ひき
(大阪市)松本晴哉
★「答弁は差しひかえる」と質問に首相は重ぬ民が慣れゆく
(松江市)田中勝美
・落葉松の黄葉の遥かに蓮華岳紅葉の奥には白馬が聳ゆ
(長野市)関 龍夫
・丹念に書写する楽譜はセレナーデ休符はとても大切な音
(横浜市)小林瑞枝
・言葉にも信念、力、情がある そう思わせるカマラ・ハリスは
(福岡県)末松博明
◎末枯れ來し佐羽根峠に虹立ちてやがて雪來んふる里の町
(仙台市)沼沢 修
・霜月の空へと続く野うさぎの足跡となりシロフォン澄みゆく
(奈良市)山添聖子
・店先に各地の柿ある関東でふるさと美濃をさがしゐる秋
(坂戸市)納谷香代子
・祈りとはときに慟哭九十五の母と別れる朝の慟哭
(大阪市)澤田桂子
・任命拒否された教授が案じいるゼミ学生の就職活動
(観音寺市)篠原俊則
▼戻りたいとみんなが願うコロナ前がよかったなんて本当ですか
(東京都)福島隆史
朝日歌壇 2020.12.13
▼毎日の消毒液の所為なのか指紋認証パスせぬスマホ
(吹田市)小山安松
・ 喪の家より小さくもれくる笑い声生きてる人の生きる日常
(八王子市)井上紀子
・ 山裾の墓に番の雉のいて墓参の吾を恐れず歩む
(前橋市)荻原葉月
▼自殺者が増え始めているテレビではGo Toは得だとはしゃぎ
続ける (東京都)野上 卓
・ がぶり寄りただひとすじに押し続け美しかりき琴奨菊は
(八尾市)水野一也
・ 銀杏の爆ぜる音聞き飲む酒よ砥部より備前に器を変えて
(安中市)岡本千恵子
・ 理不尽な長き不在に耐えぬいた悲鳴に聞こゆ早紀江さんの声
(中津市)瀬口美子
★認めない大統領と答えない首相ははどこか似てる気がする
(観音寺市) 篠原 俊則
・ 君の手を放してしまったあの日から誰にも触れていない左手
(吹田市) 赤松みなみ
朝日歌壇 2020.12.20
▼来年は集まり歌う日もあれと年賀状には牛の群れ描く
(出雲市)塩田直也
・食事フロ排泄介助しこの人のぬくもり護る我ら介護士
(鳥取市)平井幸子
▼マスクなど誰もしてないコロナ禍の前の映像どこの惑星
(高岡市)池田典恵
▼稽古場の端と端に立ち師も吾もマスクのままで浦島を舞う
(酒田市)富田光子
★二千人以上の人が亡くなって政府首脳は殊更触れず
(川崎市) 小島 敦
▼景品が除菌グッズとマスクというくじ引く時代に我は生きたり
(和泉市)星田美紀
▼「大丈夫」看護の人は寄り添いてことば薬を塗り込んでいる
(酒田市)斎藤要一
▼誰にでも最後の一匙のありてあれが母の最後の一匙
(大阪市)澤田桂子
▼抽斗を全部開けたら抽斗の奥にはあった出さぬ恋文
(埼玉県)水野勝浩
・市街地をさ迷ふ子熊の声探し親は撃たれぬ校庭の隅
(小松市)沢野唯志
・路面蹴る吾を掠め駆け抜けたる猪アスファルトの音駿馬の如し
(仙台市)二瓶 真
・山々に浮き雲の影落ちて知る山の立体空の奥行
(福山市)倉田ひろみ
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★学術会議在り方云々述べるのは先ず六名を任命してから
(京都市)畑中朝子
▼コロナ禍の視察の知事を玄関に並び待ちいる医師らの心
(観音寺市)篠原俊則
・雪吊りの作業始まる境内に恋人たちは指を触れ合ふ
(仙台市)武藤敏子
・御仏にうっすらかかる冬の塵そも暖かきもののひとつか
(東京都)長谷川 瞳
・犬吠埼・角島・部埼・六連島明治の灯台生きて灯れり
(東京都)松本知子
・田植えする農夫のように腰伸ばし次のオムツ替えに行く夜勤
(横浜市)太田克宏
・窯焚きの犬の名前は弟子と言う二夜をともに寝ずに過ごして
(安中市)吉田 信
▼コロナ禍で都会のまごこ帰省せず九十五歳がコンバインに乗る
(安芸高田市)菊山正史
▼家計簿に消毒液やマスクなど費目増え一年近しと妻は
(いわき市)守岡和之
・ドラグを締めても糸が出続ける辛抱辛抱魚体見るまで
(仙台市)高橋 敏
・落鮎のきらめきながら瀬をくだる利根の流れは夕茜せり
(伊勢崎市)川野忠夫
▼三人と四人に分かれひそひそと酌む酒寂しコロナが憎し
(日進市)山口和雄
▼囲碁会へ行くまへかならず爪を摘む小さきならひ忘れて師走
(半田市)中野富恵子
・冬からの手紙のように舞い降りる白鳥数羽また数羽また
(福島市)美原凍子
・椎茸を戻す臭いによみがえる奥に井戸ある亡き祖母の家
(奈良市)山添聖子
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(2021.02.28)
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