NO.447-2 目を光らせて 葉を枯らし花の秋待つヒガンバナ [文芸(短歌・俳句) 時事]
随想コラム「目を光らせて」NO.447-2「朝日歌壇・朝日俳壇から」
「コロナを詠んだ歌人たち」
歌壇 期間:2021.6.20~6.27
葉を枯らし花の秋待つヒガンバナ
の球根太く地に眠りおり*
*題 目: 朝日新聞: 2021.6.20 朝刊 (京都市)石原祐子さんの入選
彼岸花 アオウ ヒコ
「朝日歌壇・朝日俳壇から」
このブログは朝日新聞の「歌壇・俳壇」の入選作の中から、最近
の事象を鋭い表現で切り取った作品を「歌壇]「俳壇」交互に精選
し、必要に応じて筆者がメントを付けています。コメントは文芸
上の範を越えることがあります。
作品の頭に★印を付けた作品は時の政権が推進する前のめりの
右傾化路線や平和憲法を無視し国会の存在をないがしろにする様
を放置しておけぬとする市民の声であり、この悪弊を矯めたいと
する市民の意思表示であるとしてきました。
これらの作品はここでは個々の作品の文芸上の軽重を問うことな
く、全ての作品を本稿に採録してきました。
令和二年一月、何を契機としてその動きが始まったのかは不明
として、突如として地球に住む人類を無差別に襲った新型コロナ
ウィルスはいたるところで変容し続け、世界各地でその猖獗の勢
いは止まることなく、ひとの命を損ない、これまで営々として人
類が築いた世界の歴史と文化を根底から覆す様相を呈しています。
朝日新聞の読者たち、とりわけ歌壇・俳壇を支える歌人たちは、
この新型コロナウィルスの動きに目を光らせ、自らの感性で人と
しての声を上げ始めています。この動きを「コロナを詠んだ歌人
たち」として捉え、作品の頭に▼印を付けて識別、この疫病がい
かに人類社会の日常に深刻な影響を及ぼしたかを見究め令和2年
のウィルス禍が人類社会に及ぼしてゆく変化を知るよすがにした
いとしています。 文中敬称は省略しています。(筆者)
朝日歌壇 2021.6.20
・この人のこの世の時間すこし借りてきれいな指をあかず
眺める
(東京都)柴崎加寿子
▼救急車を思いつかざりしあの朝を思い思いて秋から夏へ
(一宮市)園部洋子
★再調査しないと総理の一言で赤木ファイルは再び闇へ
(前橋市)荻原葉月
・茂吉越えし猿羽根峠の朝明けに出羽富士紅く雪細る見ゆ
(仙台市)沼沢 修
▼果樹園の摘果作業の休憩もソーシャルデイスタンスの
二メートル (福島市)安斎真貴子
▼五時間に三十五回の電話して予約はならずコロナワクチ
ン
(東京都)大村森美
◎葉を枯らし花の秋待つヒガンバナの球根太く地に眠りお
り*
(京都市)石原祐子
・薄切りのレモンにはちみつ垂らしゆくとろりとろりと暮
れてゆく春 (直方市)永井雅子
★根堀り葉堀り訊くなと居丈高に記者団に言ふ隠すから訊
く (京都市)森谷弘志
・行き急行帰り各停結婚の許可得た喜びかみしめるため
(神戸市)米谷 茂
▼幾許もなきわが未来消えてゆくコロナ禍の世に居合わせ
しばかりに (福島県)平野明子
▼面倒で老いボケの道突き進むワクチン予約パソコンもな
し (山梨県)石原 学
▼世事に長ける高齢者のみ生き残れと仄めかすようなワク
チン接種 (横浜市)末光奈緒子
▼接種終えた安堵の笑顔テレビ越しにまだ受けられぬ人々
が 見る (東京都)上田結香
▼オンラインよりじてんしゃで支所へ行き列びし人のワク
チン早し (福島市)青木崇郎
▼電話でもネットでもとれぬワクチンの予約引き受ける岡
田眼科は (横浜市)松村千津子
★
朝日歌壇 2021.6.27
・五十年住みてはじめて飛来せしアカゲラの赤にやる気
もらいぬ (盛岡市)山内仁子
★「復興」の掛け声徐々に薄れきて「やるためにやる五輪」
となりぬ (横浜市)白鳥孝雄
★黒塗りのすみの下には墨よりも濃き暗闇が犇めいている
(東京都)十亀弘史
・葦原にまつ赤な口中空に向けオオヨシキリの声満つる朝
(枚方市)唐崎安子
・大虹を見上ぐる人の多くして中の一人は転がりにけり
(熊谷市)内野 修
▼梅雨晴れ間マスクをとらぬルールでも準備は楽し文化祭
(湖西市)佐藤きみ子
▼売るモノは労働力の他になし出向先に私物を運ぶ
(福津市)岩永芳人
★「退却」をかつて「転進」「汚染水」いま「処理水」と
変わらぬ欺瞞 (長野県)山口恒雄
・薔薇晶子、紫陽花多佳子 両女傑花に喩えて同忌を偲ぶ
(福岡市)前原善之
・貯蓄無き頭脳に智慧を借りるため図書館といふ銀行へ行
く (村上市)鈴木正芳
▼四十二日 百五十回 千五百円予約電話に費やしたもの
(近江八幡市)寺下吉則
▼無為徒食役に立たない私ですワクチン接種ビリでいいで
す (沖縄県)和田静子
▼手を振れるお散歩カーの園の子ら「コロナ世代の子」に
してならぬ (各務原市)可児千浪
・遮断機が上がり私ともん白蝶風に押されて踏切り渡る
(加西市)佐伯幸子
▼根拠無きコロナ対策定まらず総理の揺れる視線のように
(観音寺市)篠原俊則
▼民の声聴くとふ総理七割は反対ですよ五輪と辺野古
(東村山市)五十井五楼
・同じ月見上げていても解らない皆既月食 君との未来
(東京都府中市)青木 凪
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随想コラム 目を光らせて:so-netブログ
URL:http://columneye.blog.so-net.ne.jp
アオウ ヒコ
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アオウ ヒコ 様
拝啓
初めまして、東村山市の五十井梧楼と申します。
私の名前を検索してみたら偶々ヒットして、以来、貴ブログを楽しみに拝読しております。
「手遅れかまだ間に合うか過ちをなぞる政治家選ぶ国民」と「民の声聴くとふ総理七割は反対ですよ五輪と辺野古」の2首を拾って戴きまして有難うございます(共に永田和宏・選)。
1首目がYAHOOでヒットしたこと自体が驚きで、将に望外の悦びでしたが、こうなると欲が出て参ります。則ち、願わくは2首目も検索でヒットされむ事を・・と。
貴ブログで拾って戴いただけでも凄い事なのですから、それ以上の贅沢を云っては罰が当たるというものですが、敢えてお願いをする事に致します。
ヒットしなかった理由は、私の名前が一文字違っておりまして、2首目は「梧楼」が「五楼」になっておりました。
お手数をお掛けして申し訳なく存じますが、もしも可能でありますれば、「五十井梧楼」に変更して戴ければ有難く存じます。
尚、この「変更のお願い」が実現されないとしても、アオウ ヒコ様のブログへの親しみと敬意は変わることはありませず、これからも楽しみに拝見致します。
「貴ブログ」の事、まことに無責任ではありますが、多くのファンの為にも、永く継続されます事を偏にお祈り申し上げます。
敬具
五十井 梧楼 拝
by 五十井梧楼 (2022-05-30 03:07)